在留資格の種類
日本に入国した外国人は在留外国人としてなんらかの在留資格を付与されます。これら在留資格は28種類あり、全てを把握するにはかなり難しいですが、大きく分けると活動制限の少ない身分または地位に基づく在留資格(居住資格)と、活動内容や在留期間などの制限を受ける在留資格(活動資格)の2種類があります。
以下にその種類を示します。※内容については【補足】を参照願います
◆居住資格:永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等
◆活動資格:外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職(1号、2号)、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能(1号、2号)、技能実習(1号、2号、3号)、文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在、特定活動
【補足】各在留資格について
(1)居住資格
◆永住者
永住者は、もっとも制限を受けない在留資格です。在留活動・在留期間に制限が設けられていないため、厳しい在留管理も受けません。他の在留資格を持つ外国人が変更を希望する場合に、法務大臣の許可を経て付与されます。このため、独立した規定が設けられ、通常の在留資格よりも厳格な審査が行われます。
◆定住者
定住者は特別な理由により付与される在留資格です。法務大臣より一定の在留期間が指定され、日本国内への居住が認められます。具体的には第三国定住難民や日系三世、中国残留邦人などが該当します。
◆日本人の配偶者等
日本人の配偶者に加え、特別養子、日本人の子として出生した者にも在留資格があります。具体的には日本人の夫や妻、実子、特別養子縁組をした子供などが対象です。
◆永住者の配偶者等
永住者などの配偶者、または永住者などの子として日本で出生して引き続いて日本に在留している者の在留資格です。具体的には永住者、あるいは特別永住者の配偶者や子が、この在留資格に該当します。
(2)活動資格
◆外交
外国政府の外国使節団や領事館構成員、条約や国際慣行によって外国使節団と同等の扱いをするとされる者の在留資格が、外交の在留資格です。外国政府の大使や公使、総領事、代表団の構成員などが該当します。外交活動の期間が在留期間です。
◆公用
公用の在留資格は、外国政府や国際機関の公務に従事する者、その従事者と同一世帯に属する家族に与えられます。外交の在留資格に関連する活動は除かれます。
◆教授
教授の在留資格は、大学や大学に準ずる機関、高等専門学校で、研究や研究の指導、または教育の活動をする者が対象です。
◆芸術
芸術の在留資格は、収入を伴う音楽や美術、文学、その他の芸術上の活動をする者が対象です。ただし興業の在留資格に関連するものは除かれます。
◆宗教
宗教家による布教など、宗教上の活動をする者の在留資格が、宗教の在留資格です。該当例には外国の宗教団体より宣教師が挙げられます。
◆報道
報道の在留資格は、外国の報道機関との契約によって取材をはじめとする報道活動を行う者が対象です。外国の報道機関の記者やカメラマンが、これに該当します。
◆高度専門職(1号、2号)
高度専門職1号・2号の在留資格は、次の3つに分類される活動を行う高度外国人が対象です。
(1)高度学術研究活動:公共・民間との契約により行う研究、研究の指導・教育をする活動
(2)高度専門・技術活動:公共・民間との契約により行う自然科学・人文科学の分野に属する技術や知識を必要とする業務に従事する活動
(3)高度経営管理活動:公共・民間の機関での事業経営や経営管理に受持する活動
なお高度専門職2号は高度専門職1号で3年以上行ってきた活動を対象に変更が認められる在留資格です。高度専門職1号の在留期間は5年で、高度専門職2号は在留期間が無期限になります。
◆経営・管理
経営・管理の在留資格は、日本国内において貿易などの事業を経営したり、事業管理をしたりする者が対象です。ただし、法律・会計業務の在留資格に必要な資格がなければ行えない業務は除かれます。
◆法律・会計業務
法律・会計業務の在留資格は、法律や会計に関する業務を行う者が対象です。外国法律弁護士や外国公認会計士など、法律上その資格を有していなければ行えない業務の従事者が該当します。
◆医療
医療の在留資格は、法律上資格なしには行えない医療行為をする者が対象です。医師や歯科医、看護師などが該当します。
◆研究
法公共・民間の機関と契約して研究を行う業務従事者が対象です。政府関係機関の研究者や企業で研究活動を行う者が該当します。教授の在留資格に係る活動をする者は除かれます。
◆教育
日本国内の教育機関で、語学教育をはじめとする活動を行う者が対象です。小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校、各種学校、これらに準ずる教育機関の語学教師などが該当します。
◆技術・人文知識・国際業務
公共・民間の機関と契約して理学・工学・自然科学・法律学・経済学・社会学・人文科学の技術や知識を持って業務にあたる者、あるいは外国文化に基づく思考や感受性を持って業務に従事するものに与えられる在留資格が、技術・人文知識・国際業務の在留資格です。機械工学エンジニアや通訳、デザイナー、マーケティング業務従事者が該当します。
◆企業内転勤
企業内転勤の在留資格は、外国の事業所から日本国内の事業所に、期間を定めて転勤してくる者の在留資格です。技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る場合は除かれます。
◆介護
介護の在留資格とは、公共・民間との契約により介護福祉士の有資格者が介護や介護の指導業務をする場合に付与される在留資格です。
◆興行
演劇や園芸、演奏、スポーツなどの興業、またはその他の芸能活動を行う者が対象の在留資格が、興行の在留資格です。経営・管理の在留資格に関するものは除かれます。
◆技能
技能の在留資格は、公共・民間の機関と契約して産業上の特殊な分野における、熟練した技能を必要する者の在留資格です。
◆特定技能(1号、2号)
特定技能(1号、2号)の在留資格は、特定技能制度で働く外国人が対象です。特定技能制度は労働力不足解消を目的に外国人労働者を受け入れるため、2019年に創設されました。特定技能1号は12分野、特定技能2号は介護分野を除く11分野の特定産業分野で働く外国人労働者が在留資格を取得できます。
(1)特定技能1号の特定産業分野
以下の12種類が該当します。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
(2)特定技能2号
特定技能1号の12の特定産業分野のうち、介護分野以外の全ての特定産業分野が該当します。
在留期間は特定1号が1年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間ごとの更新で(通算で上限5年)、特定技能2号が3年・1年・6ヶ月ごとの更新です。
◆技能実習(1号、2号、3号)
技能実習1号、2号、3号の在留資格は、技能実習制度で働く外国人が対象です。技能実習制度は日本の高い技術や知識を発展途上にある地域へ移転することで国際貢献とするため、1993年に創設されました。制度の問題点を解消して技能実習生を保護するために法律改正が行われ、2017年11月からは新しい技能実習制度がスタートしています。1年目が技能実習1号、2~3年目が技能実習2号、4~5年目が技能実習3号となり、在留期間は通算して5年です。
◆文化活動
文化活動の在留資格は、収入を伴わずに学術上や芸術上の活動をする者に付与されます。日本特有の文化・技芸について専門的な研究を行ったり、専門家の指導を受けて技術習得したりする者も対象です。
◆短期滞在
短期滞在の在留資格は、短期間滞在して観光・保養、スポーツ、親族訪問、講習会や会合への参加、業務連絡その他これらに類する活動を行う者に付与されます。観光客や会議参加者が代表的な該当例です。
◆留学
留学の在留資格は、日本国内の大学・高等専門学校・高等学校・中学校・小学校・専修学校、各種学校などで、教育を受けるものに付与されます。4年3ヶ月を超えない範囲で、法務大臣が個別に指定する期間が在留期間です。
◆研修
研修生など、公共・民間の機関が受け入れる技能などの習得活動を行うものに付与される在留資格が、研修の在留資格です。
◆家族滞在
教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、文化活動、留学の在留資格を持って在留する者が扶養する配偶者や子に付与される在留資格が、家族滞在の在留資格です。在留期間は、5年を超えない範囲で法務大臣が個別に指定する期間です。
◆特定活動
指定される活動によって就労の可否が変わる在留資格に、特定活動の在留資格があります。外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者などが該当します。